今まで、膠原病や自己免疫疾患の患者様の中で、帯状疱疹ワクチンを接種できなかった方がたくさんいらっしゃいました。

これは、従来使われていた「生ワクチン」が、免疫を抑える治療を受けている方に適さないとされていたためです。

しかし現在は、「不活化ワクチン」であるシングリックスの登場により、これまで接種の対象とならなかった方にも、帯状疱疹を予防する新たな選択肢が広がっています。

当院では、このシングリックスを取り扱っており、接種が可能です。

患者さんのご病状や治療内容を確認したうえで、接種の可否を慎重に判断しながらご案内しております。

帯状疱疹の予防ワクチンをご検討中の方は、どうぞお気軽にご相談ください。

従来の帯状疱疹ワクチン(生ワクチン)では、なぜ接種できなかったのか?

帯状疱疹の予防に従来使われてきたワクチンに、「乾燥弱毒生水痘ワクチン(生ワクチン)」があります。

このワクチンは、水痘ウイルスを弱毒化したものを投与します。つまり、本物のウィルスを投与することになるため、免疫機能が十分に働いている方には問題なく使用可能ですが、免疫を抑える免疫抑制剤での治療を受けている方では生ワクチンの接種によってウィルス感染症が引き起こされるため投与することができません。

膠原病の患者さんの多くは、ステロイドや免疫抑制剤などを継続的に使用しておられるため、原則として接種を控えることが必要であり、多くの患者様ではワクチンの使用が難しく、帯状疱疹の予防はできない状況が長く続いていました。

膠原病や自己免疫疾患でも接種可能なワクチン「シングリックス」とは?従来ワクチンとの違い

「シングリックス」は、帯状疱疹の予防を目的とした不活化ワクチンです。

従来の生ワクチンとは異なり、不活化ワクチンはウイルスそのものを含まない製法で作られているため、免疫抑制剤等を使用されている方でも接種できるという大きな特徴があります。

また、海外を含む多くの臨床研究において、高い予防効果(50歳以上で90%以上)が報告されており、従来の生ワクチンよりも高い予防効果が期待されています。

ただし、体調や服薬状況によっては慎重な判断が必要な場合もありますので、接種にあたっては医師の診察を受けたうえでのご案内となります。

「シングリックス」はどのような方に接種がすすめられるのか?|接種の対象と留意点

「シングリックス」は、不活化ワクチンであることから、膠原病や自己免疫疾患をお持ちの方で、免疫抑制剤などでの治療中の方でも投与頂ける帯状疱疹ワクチンです。

たとえば、ステロイドや免疫抑制薬を使用している方、抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤を継続している方などでも、接種をご案内できます。

シングリックス投与の対象者は「50歳以上」または「帯状疱疹に罹患するリスクがある18歳以上の方」となっており、この`帯状疱疹に罹患するリスク`というのは免疫機能が低下している状態を指すため免疫抑制剤を使用されている患者様は基本的には対象となります。

(お一人お一人の体調や服薬状況を丁寧に確認し、医師の判断のもとで慎重に対応する必要があります。)

「今まで打てなかったから」と諦めるのではなく、まずは一度ご相談いただくことをおすすめしています。

帯状疱疹ワクチン「シングリックス」の接種を希望される方へ|当院での流れと費用のご案内

当院では、帯状疱疹予防のための不活化ワクチン「シングリックス」の接種が可能です。

接種をご希望の方には、まず診察にて現在のご病状や治療内容、服薬状況などを詳しくお伺いし、医師が接種の可否を慎重に判断いたします。

接種が可能と判断された場合は、原則として2回接種(1回目から2か月後に2回目)のスケジュールでご案内いたします。

なお、このワクチンは一部の年齢の方に限り自治体からの助成があり、当院でも公費負担のシングリックス投与可能となりました。
※ただし、住所が大阪市内の方に限ります。

上記に該当しない方は、接種は全額自費となり、1回あたり2万2千円(税込)のご費用負担となります。(2回の合計で4万4千円)

高価なワクチン製剤でありますが、このシングリックスは臨床研究ではおおよそ10年かそれ以上の期間に渡って予防効果を発揮するとも報告がされております。

ご予約は、診察時またはお電話にて承っております。

ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。

帯状疱疹ワクチン「シングリックス」に関するよくあるご質問|副反応や対象年齢など

Q. 膠原病があっても、本当に接種できますか?

A. 病状や治療の内容によってですが、接種をご案内できる場合が多いです。
ただし、患者様個人個人での状況は異なるため、必ず医師が診察を行い、接種の可否を判断いたします。

Q. 副反応はありますか?

A. 接種部位の痛み、腫れ、倦怠感、発熱などの一時的な症状が報告されています。
通常は数日以内に改善しますが、まれに強い反応が出ることもあるため、気になる症状が続く場合は医師にご相談ください。

Q. すでに帯状疱疹にかかったことがあるのですが、それでも接種する意味はありますか?

A. 帯状疱疹は再発することもあるため、再発予防の観点からも接種を検討する価値があります。
過去に発症された方でも、医師にご相談ください。

Q. 年齢制限はありますか?

A. シングリックスの投与適応は50歳以上の方、もしくは罹患リスクの高い18歳以上の方が対象になっています。
自分が適応かどうか迷われる場合は是非一度医師にご相談ください。

「シングリックス」は帯状疱疹予防の新しい選択肢です|まずはお気軽にご相談ください

帯状疱疹ウィルスはみずぼうそうになったことがある人であれば全員体内にウィルスを持っています。日本人はウィルスの保有率がとても高いことが知られており8割以上の方がウィルスを保有されているとも言われています。

帯状疱疹は、ウィルスを保有している方であれば免疫力の低下によっていつでも起こりうる疾患ですが、膠原病や自己免疫疾患をお持ちの方や免疫抑制剤をご使用の方は、特に注意が必要とされています。

帯状疱疹ウィルスは神経に潜んでいて、帯状疱疹を発症するときにはその神経を強く傷つけながら発症します。(神経障害)

ですので、強く神経に傷が入ってしまった場合は、ビリビリとした神経の強い痛みが後遺症として残るケースなどもありますし、症状が出る場所によっては聴力障害や視力障害など様々な後遺症が残る可能性がある疾患です。

シングリックスは帯状疱疹の発症予防の効果も高いですし、万が一発症してしまった場合でも重症化を防ぐ効果もあります。

これまでワクチンによる予防を諦めていた方にとって、「シングリックス」の登場は、新たな選択肢が加わったことを意味します。

当院では、患者さん一人ひとりの病状や治療内容を丁寧に確認しながら、慎重かつ安全性に配慮した接種のご案内を行っております。

「自分も接種できるのだろうか」と感じられた方は、どうぞご遠慮なくご相談ください。

帯状疱疹の発症を防ぐ第一歩として、私たちがサポートいたします。

この記事の監修者:藤本潤

天王寺ふじもと膠原病リウマチクリニック院長

<資格>
医学博士/日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医/日本リウマチ学会 登録ソノグラファー/日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本アレルギー学会 アレルギー専門医/難病指定医

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