関節リウマチや膠原病は、長期間にわたって付き合っていく必要のある病気です。そのため、医師と相談しながら治療を継続することはもちろん、日々のセルフケアも非常に重要です。
ここでいう「セルフケア」とは、医師から処方される薬による治療以外に、「病気を安定させるためにご自身でできる工夫や配慮」を指します。
セルフケアは「ひとりで頑張ること」ではなく、家族や周囲のサポートを受けながら、自分の体調とうまく付き合っていくことを意味します。無理なく続けるためには、周囲の理解や協力が大きな支えとなります。
この記事では、関節リウマチ・膠原病と向き合うためのセルフケアの方法や、家族との関係性、医師との相談の大切さについて解説します。ご自身に合った無理のないセルフケアを見つけ、安心して治療と日常生活を両立できるようサポートいたします。
関節リウマチ・膠原病治療におけるセルフケアの重要性
セルフケアの基本は「休息」
関節リウマチや膠原病は、関節だけでなく全身に影響を及ぼす病気です。そのため、医師の治療を受けることに加えて、日常のセルフケアをしっかり行うことが、症状の安定や生活の質の向上に大きく関わってきます。
セルフケアの基本は「十分な休息をとること」です。睡眠をしっかり確保し、疲れを感じたら無理をせず休憩や昼寝を取り入れることで、心身への負担を軽減できます。
食事と生活習慣のポイント
喫煙は膠原病を悪化させるため、禁煙を強くおすすめします。飲酒については体調が安定していれば適量であれば可能な場合もありますが、薬の種類や病状によって制限が必要なことがあります。
また、治療で使われる免疫抑制剤の影響により、糖尿病・肥満・脂肪肝などのリスクが高まることがあります。そのため、患者様によっては食事のカロリー管理が必要になる場合があります。
治療初期は体に負担をかけすぎない
治療開始から薬の効果が安定するまでには、一般的に1〜3カ月程度かかります。この時期には、体への過度な負担を避けることが大切です。
特に関節炎が強い場合は、重い荷物の持ち運びや長時間の歩行、激しい運動などは避け、安静を心がけましょう。症状が強いときは湿布などを活用するのも良い方法です。
症状が安定したら適度な運動を
病状が安定してきたら、体力作りのために適度な運動を行うことが推奨されます。その際は、医師と相談しながら運動の種類や強度を調整することが大切です。
風邪など体調不良時の注意点
風邪など体調を崩した際には、病状や服用中の薬によっては特別な対処が必要な場合があります。異変を感じたときは、必ず医師に相談してください。
家族や周囲のサポートの重要性
心の支えとしての家族の存在
膠原病をお持ちの方は、誰しも病気に対する不安を抱いています。主治医として不安の軽減に努めますが、身近な方と気持ちを共有することも精神的な安定につながります。
生活面での具体的なサポート
体への負担を減らすという意味でも、家族や周囲の協力は欠かせません。重い荷物を持たないように配慮したり、無理のないスケジュールを組んだりすること、また食事のサポートなども患者さんにとって大きな支えとなります。
医師との相談とセルフケアのバランス
食事やサプリメントの疑問は医師へ
「何を食べたらよいか?」という質問はよく寄せられますし、サプリメントや健康食品を多く取り入れている方も見られます。
基本的には、バランスの取れた健康的な食事が最も大切です。ただし、病状によって注意が必要な点もあるため、個別に医師へご相談ください。
サプリメントや健康食品については、医師が積極的に勧めることは少なく、むしろ薬との相互作用などで悪影響を及ぼす場合がありますので、自己判断は避けてください。
医師との情報共有がカギ
「どこに注意すればいいか」「自分に合った生活はどのようなものか」について、時間をかけて医師と共有・相談しながら見つけていくことがとても重要です。
関節リウマチ・膠原病の治療は、無理せず自分に合ったセルフケアを
病気とうまく付き合っていくためには、ご自身に合ったセルフケアの方法を見つけることが大切です。
それは決して「ひとりで頑張る」ものではなく、家族や医師と協力しながら取り組むものです。体と心の声に耳を傾け、無理なく続けられる方法を探していきましょう。
当院スタッフ一同、みなさまの生活と治療の両立を全力でサポートいたします。
この記事の監修者:藤本潤
天王寺ふじもと膠原病リウマチクリニック院長
<資格>
医学博士/日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医/日本リウマチ学会 登録ソノグラファー/日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本アレルギー学会 アレルギー専門医/難病指定医